まー話がぐっちゃぐちゃ。
誰のことを書いているのか俺しかわかんないんじゃないのかな。


そんなかんじで関東あたり。
会いに行くのはいつも車を運転していった。

決まった待ち合わせ場所や時間があるわけではなくて。


「横浜まで来てもらってもいい?」

「わたし横浜なら10時頃には着くかな。」

「なら横浜駅に10時で。」

いつもこの程度を決めるだけ。
事細かに決めたところで俺は『横浜と言えば崎陽軒』レベルの情報弱者だから。
横浜駅の西口も東口もわかりゃしない。


あとはラインでやりとり。

「なんかねー、西口って書いてあってヨドバシの看板見えてるところで俺まってる。」


「えー、わたし横浜で働いてたことあるけど、それ東口でしょー。」


「西口って書いてあるから西じゃない?
みなみ西口とか書いてあるし読めば読むほど日本語がわからないけど。丸い柱の陰で人間観察しながらひっそりまってる。」


最近は本当に便利。
こんなアバウトな待ち合わせでもどうにでもなるんだからね。




「シティホテル取ったけど、チェックイン2時とかなの。」


「居酒屋で飲んでもいい?」


「うん。」



駅前の24時間営業の居酒屋で時間が来るまで過ごし、ほろ酔いの彼女とチェックイン。


酒の力ってすごいよね。
普段、俺も酒をのむ。
開放的な気分になったり、ちょっと大胆になったり。シラフなら言えないようなことも言えたり、言ってしまったり。


「俺くんを私のなかに取り込んで帰る。」

「ぜんぶちょうだい!」


すごかったの、と書いておくだけにする。


清楚な雰囲気なの。彼女。
そういう女性がそうなってこうなると、ね。
いかにもな女性が乱れるより破壊力ある。
こちらが勝手に壊れてしまうというのか。


今風の嫌な言い方をすれば「清楚ビッチ」的なやつ。
ギャップが大きければ大きいほど男はダメかも知れない。


時間が経つにつれ、酔いも覚める。
夜にさしかかる頃。


「私、そろそろ帰らなきゃ。」って。

「またな。」って抱きしめて頭を撫でると子供みたいになってた。

どっちが年上なのかわかんないねって可愛く笑ってた。


宿泊の予約をした二人が満足そうな顔でその日の夜にはチェックアウト。
夫婦に見えていたかも知れない男女が夫婦でないことはフロントの人たちには間違いなく見透かされているのだろうと思うと、早々にその場を立ち去りたくもなった。


ホテルの地下の駐車場へ向かう途中、彼女は流行りのドラマみたいに俺に腕を絡ませ、軽くキスをしてくれた。



なんてことない話だけれど、俺にとっては最高の思い出かも知れない。