「あーん。なんかへんなかんじー。」
それが彼女の言葉。
嫌だともびっくりしたとも痛いとも言わなかったし怒らなかった。
「違うところ」を使ってセックスをすることも誰かに癖付けられているんだと思った。
理恵が言うには、ご主人の性欲はかなり強い。
「旦那ね、ゴリマッチョだ。」
自衛官さんだからね。かなりのもんじゃないのかね。いろいろ。
「やり溜めするんだよー。演習前とかね。
何日も帰らないから。」
「旦那にね、野菜入れられたことあるよ。
んとねー、きゅうりとなす。」
当時ご主人が任務を遂行していた現場は酷い状態。
「心を癒すものが全くないからうちのパンツ送ってくれって言われて送ったけど、すぐに送り返されちゃった。」
どこまで本当のことを話したのかはわからない。話が事実なら、いろんな性癖はご主人にあるのかも知れない。
でもやっぱり理恵はセックスに依存していそう。
ホテルの窓を開けたときに思った。
この女性、どこでもセックスできるんじゃないのかと。
いつかはどこかの小さな野球場のバックネット裏。
いつかは公園にある多目的トイレのなか。
目的は用便だけにとどまらなくてもいいのか。
理恵に会うこと=外でセックスをすること
そんなふうになっていた。
「俺、仕事の途中で来たからコンドームなんて持ってない。」
「大丈夫やけん。持ってきてるよ。」
そう言って俺に見せてくれたのは、小さな巾着袋に詰め込んだたくさんのコンドーム。
いつでも、どこでも、誰とでもセックスできるように準備しているようにみえた。
俺とするだけならひとつかふたつ持ってりゃいいんじゃないかと。
防波堤に停めた車のなか。
近くの工場へ出入りするトラックから見えていたかも知れない。
そんなことはお構い無しに腰を振り、悦に入る。
これがもし彼女の患っているものが引き起こすことであるのならば、ご主人もある程度は黙認していたのかも知れない。
「ちゃんと避妊だけはしてくれ。」と夫婦での話があったのかも。
中学生か高校生か犬か猫か。
それくらい盛っていた俺と理恵。
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