そうそう書くの忘れてた。

トイレットペーパーはシングルが好きなの。
理由は自分でもよくわからないけれどシングル派。みなさまはどうなの?



あれだ。
奥さんは夜勤がある職場。
あんまり詳しく書くとあれだけど、それなりに限定されるね。
自分(奥さん)の身内の紹介でその職場に転職した。その身内の女性も同じ職場で働いている。


1~7くらいまでのグループに分かれていたのかな、奥さんの職場は。どこにでもあるけれど、少し特殊な環境の職場。

で、それぞれのグループが早番、日勤、遅番、夜勤というシフトで勤務している。


奥さんは第1グループ(仮称)にいた。

家にはいつも『第1グループ 勤務表』と書かれたひと月ぶんのカレンダーのようなものがあった。
それに従業員の名前とシフトが記されていたのね。それに従って勤務に就くという。


今まで気にも留めなかったその勤務表。
第1グループには『佐藤』という職員が居ることもその時気づいた。

きっと奥さんのアドレス帳にある
『佐藤くん』は、同じ職場のこの人間なのだろうと思ったの。


奥さんの身内の女性は第7グループで働いていた。互いに仲が良かったからなのか、
『第7グループ 勤務表』のコピーも一緒に置いてある。休みが合えば一緒に出かけたりしていたような間柄だったので、その勤務表の存在は不思議には思わなかった。


『※』という誰かから来たメールから察するに、奥さんは『※』と夜勤中に公然と会っていたのかも知れない。それは同じグループの『佐藤くん』に違いない。



俺のなかでは確信に近かった。
メモをした番号に電話をかけた。

「もしもし、俺くんと言います。佐藤さんですよね?ゆり子がいつもお世話になってます。少しお話しがしたいんだけど。」

皮肉たっぷりにそう言った。


「ち、違います。僕じゃないです。」


「はい?あなた佐藤さんですよね?」


「そそ、そうですけれど、僕じゃない。」

明らかに声が震えているし、俺が何を話したいかわかっているよう。当事者確定。

「おまえふざけんなよ。」

そう言うと、「違います。違うんです。身の潔白を証明したい。僕じゃない。」と答えた。


その日の午後、『佐藤くん』からの申し出で、近所の喫茶店で彼と対面することにした。


俺は待ち合わせた時間より先に着いて、コーヒーを飲みながら待った。


定刻通りだったか。
『佐藤くん』も店内にやって来た。


緊張しているのか、顔がこわばってはいるけれど、人が良さそうな雰囲気。


「好きなの頼んで。俺奢るから。」


「…コーヒーで。」


彼のぶんのコーヒーがテーブルに来るまで互いに無言だったと思う。


タバコを咥え、ポケットからライターを探す彼。見つからないという様子だったので、俺のライターを差し出した。

「大丈夫です。」と言って店員さんに店のマッチを貰っていた。

マッチを擦るんだけどね、緊張してんだね。
ボキボキへし折る。マッチ擦れないほど力んでいて、少し哀れにも見えた。

「仕事は?」


「今日はこれから遅番なんです。」


「で?俺を呼び出したのは?
ゆり子とのこと謝りにきたの?」


「僕じゃないとわかってほしくて来ました。」


ふて腐れる事もなく、真顔で俺に言う。


「おまえじゃないなら誰だよ。」


「それは言えません。でも僕じゃないんです。」


自分ではないが、誰が相手なのか知っています、という口ぶり。


わざわざ嘘をつきに来たとも思えない表情で俺に訴える。

君じゃないけど同じ職場のやつなのね。
そういうことね、わかった。
それがわかりゃ君に用はないし憤慨することもない。



「コーヒー冷める前に飲みなよ。」


そう促すと、スティックシュガーをカップに入れる佐藤くん。
 
カップに入れようとするんだけどね、緊張してんだね。手がぶるぶる震えてちっとも砂糖が入らない。テーブルに砂糖がこぼれているだけ。どんだけびびってるの。


「俺さんに殴られると思っていました。」


「俺は佐藤くんと話がしたいと思って来ただけ。なんでそう思った?」


「ゆり子さんからご主人のこと、少しは伺っています。相談に乗ったりしていました。
ご主人は怒ると何をするかわからない人だと聞いていました。」


「あながち間違いではないにしても、こんなに震えてまで俺に会いに来た人のことを話も聞かずに殴りはしない。」



奥さんは職場で俺のことをどう話しているのかと複雑な気持ちになった。
男より3歩下がって歩く女だったはずなのにね。相当思い悩んでいたのだろうと思う。
俺の悪態をついて離婚を助長してもらいたかったのか。


『佐藤くん』は職場のお人好し。
彼ではない男が相手。
同じ職場にそいつはいる。
それがわかっただけだった。