2019年08月

 

奥さんはと言えば相変わらず俺の携帯を奪い取り、メールのチェックと予測変換をつかって文章を組み立ててのあら探し。

俺もそこまでバカではないからね、毎日帰る前に予測変換を初期化することを覚えたよ。


「佐藤くんと会ったんでしょ?なんでそんなことするの。あなたとは関係のない人なのに信じられないことするね。」


「向こうから俺に会いたいと言ってきただけ。ゆり子さんの浮気相手は僕じゃないって言ってたよ。ほかにもいろいろ知ってるみたいだったね。」


「何を聞いたの。」


「何も聞いてないし、聞いていたとしてもおまえに話すわけない。


毎夜毎夜飽きもせずに夫婦間での揉め事。

それでも夫婦で一緒に暮らしているうちは俺と奥さんは毎日二人で晩ごはんを食べ、同じ布団で寝た。
俺の帰りがどんなに遅くとも、子供たちを先に食べさせ、俺を待っていてくれた。

夫婦で食卓を囲むも、無言。
口を開けば浮気だ離婚だ。
美味しいのかまずいのかなんてどうでもいいレベルだった。



そんな時だったのか。
徹夜をしてでも仕事を終わらせないといけない状況になっていた俺。
家には何の連絡もせず、ひたすら仕事をしていたの。


仕事を片付け、家に帰りついたのは午前3時すぎ。


さすがに奥さんも寝ているだろうと思ってた。

「おかえり。」

「起きてたの?」

「晩ごはん要るのか要らないのかわからなかったからあなたのぶんも作って待っていました。」


もう狂ってるよね。
意地になってるというのか。


「先食べて寝てたらいいのに。どうせ離婚の話ばかりになるの目に見えてるんだし、そういうのしんどい。」


「そっか。私と話すのが嫌でこの時間まで女のところに行ってたのか!」


「なんでそうなるの?仕事してた。」


「もう限界!」


被害妄想というのですかね。
それまでの俺の素行から想像して喋ってる。


「落ち着けゆり子。仕事で遅くなっただけ。」
そう言いながら奥さんの肩をトンと叩いた。

「そんな手で私を触るな!!」


俺の手を払いのけ、玄関から外へ飛び出そうとした。

「待てまて!こんな時間になにしてるの!


今度は手首を掴み、出ていこうとする奥さんを無理やりひきとめる。
男と女の力の差なんて歴然。どんなに逃げようとしても逃げられない。

「誰か助けて!殺される!!」


明け方に悲鳴をあげてそう叫ぶ奥さん。


近所にそんな人聞きの悪い言葉を聞かれたくない。そう思って手首を掴む力を緩めた瞬間、奥さんは裸足で家から飛び出ていった。



実家に逃げ帰ったんだと思った。
帰ってくるとも思わなかった。
こうなったら無理に連れ戻しても、元の夫婦に戻れる事はないと感じたから、追いかけることもしなかった。


夫婦って本当に脆いものだとその時ようやく感じたような気がするな。



それから離婚が成立するまでの半年間くらいだろうか。俺たち夫婦は別居という形になった。



 

そうそう書くの忘れてた。

トイレットペーパーはシングルが好きなの。
理由は自分でもよくわからないけれどシングル派。みなさまはどうなの?



あれだ。
奥さんは夜勤がある職場。
あんまり詳しく書くとあれだけど、それなりに限定されるね。
自分(奥さん)の身内の紹介でその職場に転職した。その身内の女性も同じ職場で働いている。


1~7くらいまでのグループに分かれていたのかな、奥さんの職場は。どこにでもあるけれど、少し特殊な環境の職場。

で、それぞれのグループが早番、日勤、遅番、夜勤というシフトで勤務している。


奥さんは第1グループ(仮称)にいた。

家にはいつも『第1グループ 勤務表』と書かれたひと月ぶんのカレンダーのようなものがあった。
それに従業員の名前とシフトが記されていたのね。それに従って勤務に就くという。


今まで気にも留めなかったその勤務表。
第1グループには『佐藤』という職員が居ることもその時気づいた。

きっと奥さんのアドレス帳にある
『佐藤くん』は、同じ職場のこの人間なのだろうと思ったの。


奥さんの身内の女性は第7グループで働いていた。互いに仲が良かったからなのか、
『第7グループ 勤務表』のコピーも一緒に置いてある。休みが合えば一緒に出かけたりしていたような間柄だったので、その勤務表の存在は不思議には思わなかった。


『※』という誰かから来たメールから察するに、奥さんは『※』と夜勤中に公然と会っていたのかも知れない。それは同じグループの『佐藤くん』に違いない。



俺のなかでは確信に近かった。
メモをした番号に電話をかけた。

「もしもし、俺くんと言います。佐藤さんですよね?ゆり子がいつもお世話になってます。少しお話しがしたいんだけど。」

皮肉たっぷりにそう言った。


「ち、違います。僕じゃないです。」


「はい?あなた佐藤さんですよね?」


「そそ、そうですけれど、僕じゃない。」

明らかに声が震えているし、俺が何を話したいかわかっているよう。当事者確定。

「おまえふざけんなよ。」

そう言うと、「違います。違うんです。身の潔白を証明したい。僕じゃない。」と答えた。


その日の午後、『佐藤くん』からの申し出で、近所の喫茶店で彼と対面することにした。


俺は待ち合わせた時間より先に着いて、コーヒーを飲みながら待った。


定刻通りだったか。
『佐藤くん』も店内にやって来た。


緊張しているのか、顔がこわばってはいるけれど、人が良さそうな雰囲気。


「好きなの頼んで。俺奢るから。」


「…コーヒーで。」


彼のぶんのコーヒーがテーブルに来るまで互いに無言だったと思う。


タバコを咥え、ポケットからライターを探す彼。見つからないという様子だったので、俺のライターを差し出した。

「大丈夫です。」と言って店員さんに店のマッチを貰っていた。

マッチを擦るんだけどね、緊張してんだね。
ボキボキへし折る。マッチ擦れないほど力んでいて、少し哀れにも見えた。

「仕事は?」


「今日はこれから遅番なんです。」


「で?俺を呼び出したのは?
ゆり子とのこと謝りにきたの?」


「僕じゃないとわかってほしくて来ました。」


ふて腐れる事もなく、真顔で俺に言う。


「おまえじゃないなら誰だよ。」


「それは言えません。でも僕じゃないんです。」


自分ではないが、誰が相手なのか知っています、という口ぶり。


わざわざ嘘をつきに来たとも思えない表情で俺に訴える。

君じゃないけど同じ職場のやつなのね。
そういうことね、わかった。
それがわかりゃ君に用はないし憤慨することもない。



「コーヒー冷める前に飲みなよ。」


そう促すと、スティックシュガーをカップに入れる佐藤くん。
 
カップに入れようとするんだけどね、緊張してんだね。手がぶるぶる震えてちっとも砂糖が入らない。テーブルに砂糖がこぼれているだけ。どんだけびびってるの。


「俺さんに殴られると思っていました。」


「俺は佐藤くんと話がしたいと思って来ただけ。なんでそう思った?」


「ゆり子さんからご主人のこと、少しは伺っています。相談に乗ったりしていました。
ご主人は怒ると何をするかわからない人だと聞いていました。」


「あながち間違いではないにしても、こんなに震えてまで俺に会いに来た人のことを話も聞かずに殴りはしない。」



奥さんは職場で俺のことをどう話しているのかと複雑な気持ちになった。
男より3歩下がって歩く女だったはずなのにね。相当思い悩んでいたのだろうと思う。
俺の悪態をついて離婚を助長してもらいたかったのか。


『佐藤くん』は職場のお人好し。
彼ではない男が相手。
同じ職場にそいつはいる。
それがわかっただけだった。







ちょっとお久しぶりです。
消費税の増税直前ですよ。何を買いだめすべきか昼夜考え抜いておりましてご無沙汰しておりました。

軽減税率とかいまいちわからないルールも導入されるんですかね。
洋服を買うのに試着室で商品に着替えてそのまま店外へ出たら消費税と代金が軽減されますよ。

というか税金を余分に払うなら今のうちに何かをまとめて買っておきたい。
賢い主婦さんか、俺。

メッセージとかいただいてありがとう。

続きものブログを書くのに飽きちゃってた。
何年も前の話で時系列がぐちゃぐちゃになりそうなのを脳みそフル回転で記憶を蘇らせて文字にしておりました。


けど続けます。今日はやる気よ。


なんの話だこいつ、と思われるかたは少し前の記事を読み返してください。俺もそこから始めます。


そう。奥さんが入浴中に奥さんのバッグにバイブが入っているのを見つけた。膣に入れてズボズボ気持ちいいやつね。 


奥さんはお風呂からあがって寝室にきた。

「そのバッグのなか見せてよ。」


俺がそう言うと頑なに拒む。当たり前か。


「なんで俺くんに見せなきゃいけないの。」

 
「見せたくない?」


「いやだ。」


「そっか。それなら俺、勝手に見るわ。」

そう言ってバッグをひっくり返した。
めちゃくちゃ焦ってたな、奥さん。

「何すんの!!!」


「あ、この紙袋ななになにー?」


わざとらしく見つけたふりをして手に取る。

「見せてね。」

袋を逆さまにすると、シリコンでできた卑猥な形のものがボテッと床に落ちた。


「わー!!なにこれなにこれ!!」
わかっていたけれど驚いてしまった。 
それくらい衝撃的だったの。俺にしてみたら。


前述したけれど、奥さんはオナニーをするのに膣に何かを挿入する手法じゃない。
誰かと一緒に使うための物だと俺もわかるし、奥さんも俺がそう察したと感じている。


数分間はそれの奪い合いというのか、取り返そうと必死に俺に向かってきていたけれど、見つかったなら仕方ないと開き直った様子。


「おまえもよその男とセックスしてたのね。
こないだは俺のことを汚ない触るなって罵ってくれてありがとね。おまえも俺と同じだけ汚ない女だよね。」


「もうあなたと一緒に居られないと感じてた。ばれたら離婚する、そんなつもりでほかの男性に頼った。心を支えてもらった。私はなにか間違えてる?」


「開き直ってるようだけど、間違えてるもなにも同類でしょ。俺に汚ない触るななんてよく言えたよね。」


「俺くんをずっと信じてきたけどもう無理なの。私だって幸せになりたいと思うのはおかしいの?」



「俺が女と100回寝ようがおまえがひとりの男とだけセックスしようが不貞行為に違いはないの。例えばそういう場に出た時にそんな屁理屈が通ると思う?同じ穴の狢ってこういうこと言うの。」


何を言っても「私は間違ってない。あなたが私をこんな気持ちにさせたのが悪い。」というニュアンスのことを繰り返し言うだけ。埒があかない。

「お願いだから離婚させてよ。


洗脳されてたように見えたのはこれ。
初めての不倫でいろんなものを見失ってしまっているよう。


と、ここまでが俺が奥さんのメールを盗み見た日の一晩の出来事。


翌日俺は『佐藤くん』に電話をかけることになるの。








 

昨日の夜に記事を書き上げ、投稿する直前で寝ていたみたい。今朝目覚めるとスマホはこのブログの編集画面が開かれていました。

寝ぼけたままスマホをさわる。
なんだか知らないけど書いた記事が消えるというハプニングに見舞われました。

記事を書くのに費やした俺の時間を返せ!と俺に言うわけにもいかず、なんだかなーと。
昨日の上出来だったのに。

というわけで同じ内容を再び。
  



仕事が終わり家に帰ると、奥さんは熱心に携帯電話を眺めていた。
俺が近くにいることも気付かないほどそちらに気を取られていたみたい。

どこかのタイミングで俺がいることに気付き、一瞬視線だけをこちらに向けた。

「帰ってきてたんだ。」と言ってまた携帯電話に視線を落とす。
少し慌てていたようにも見えた。


「なにか面白いものでも?」
俺はそう言いながら奥さんの携帯電話を覗きこむ。微動だにしなかった。

チラッと見えたその画面。

待ち受け画面だった。
なるほど、と思った。


人が近くにいることも気付かないほど夢中で待ち受け画面を眺めるやつなんてそうそう居ない。

俺が居るから待ち受け画面に切り替えたんだと思うほうが妥当。


疑いの目で人を見ると全てが不自然に感じてしまうもの。でも間違いなくこの人もなにか隠してるな、と思えた。
少しの間様子を見てみようと思った。


しばらくたって奥さんは携帯電話(今で言うガラケー)を寝室にある充電器に立て、風呂へ。


“やられたらやり返せ”
いつかも書いたかも知れない、俺の性分。


様子を見てみるも何も、こちらから携帯を見てやればいい。奥さんは俺が寝ている隙に俺の携帯を見たんだし。

絶好のタイミングだった。

人の電話なんか見ても嬉しい情報なんてひとつもないことは俺がいちばん良く知っているけれど、罪悪感とかモラルとかなんとかってもうどうでもいいところまで来ていたし。

やられたんだから、同じことしてやる。



フォルダを開き、メールを確認。


『今日も会えたね、ゆりちゃん❤️』


あった。 
急に心拍数が上がった。



奥さんは誰もがそう呼ぶ典型的な名前。
ゆり子。


今日も会えたね、って。


送信されたのは昨日。
昨日は奥さんは夜勤の日。昨日の夕方に職場に向かい、今朝は俺が仕事に出たあとに帰宅。明日は休みというシフト。


送信者は『※』

こめ?
笑ってしまうほど幼稚な設定。
いや、俺に見られることを想定して名前がわからないようにしてあるのか。


そのメール以外に男からだと判断できるようなメールはなかった。
どうせ削除してるんでしょ。俺にそう言うくらいだし。


どうでもいい。
化けの皮剥がしてやると思った。


次は電話番号を見ることができるアドレス帳のフォルダ。電話番号を見たって男か女かわかんないし、『※』と登録されたものも見つからなかったが、『佐藤くん』と明らかに男だと思える登録名があった。

『佐藤くん』の電話番号をメモ。

元あった充電器に携帯電話を戻す。


信頼だけで成り立っている夫婦という関係。
こんな泥仕合をしている二人は既に夫婦ではなかったのかも知れない。


しっぽを掴んだなら徹底的にやる。
中途半端にもやもやが残るのは性に合わない。

女特有の長風呂だし。

次は抜き打ちで持ち物検査を実施。

奥さんが普段持ち歩いているバッグがここに置いてある。
何度も言うけど、倫理観などどうでもいい。
何か出てくるような勘と胸騒ぎ。


財布。化粧のポーチ。ハンカチやポケットティッシュ。誰もが持っているもの一式。
それと、小さな紙袋。


中にはバイブが入っていた。
乾電池で動くオモチャね。
膣に入れるやつ。

ほらきたよ。


俺の奥さんが自分で使うために買うのであればローターを買うと思う。
ウズラの卵みたいなやつが細かく振動して、クリトリスに当てて気持ちいいってなるやつ。

セックスレスではなかったけれどオナニーはする。でも膣に指や何かを入れることはしない。20年一緒にいる。俺もそのくらいのことは知っている。


『※』が使うためのもの。
確定。


あとはそいつが誰なのか。
こめの正体はさとうくんなのか。





セブンイレブンで買ったサンドイッチをファミリーマートの駐車場で食べました。
どことなく心が不安定になりました。



出会いから離婚まで、足かけ20年。
よその女にうつつを抜かしたことも多いですけれど、20年も一緒にいれば奥さんのこと、この人がどんな女性なのか、誰よりも知っていたという自負はあります。

誰よりも知っていたから、それを逆手に取っていた。どんな事をしていても俺についてくる女だと過信してしまっていたのかな。

男より3歩うしろを歩くというかんじ。
男を引き立てるのが上手かった。
子供たちの前では一切俺のことを悪く言わない。父親としての絶対的な立場を子供たちに教えようとしていた。


昔ながらの日本の女性という雰囲気ですかね。
どんなに辛いことがあろうと弱音を吐くことはなかったし、無駄にしゃしゃり出ない。けれども俺へのサポートは人が驚くほどにしてくれたし、本当に子煩悩な母親だった。
美化でも誇張でも未練でもなくね。


なんでこんなことを書いたかと言うと、子供たち。子供たちも連日連夜の両親の口論にただごとではないと気づいていた。


「お父さんとお母さんね、もう一緒に居られないと思うの。」

奥さんが子供たちに気持ちを伝える。
長男はぐっと涙を堪えて俯く。甘えん坊の次男は大声で泣き叫ぶ。

見ているのが辛かった。
このまま血管が切れてしまうのではないか、精神的に立ち直れない何かが起きてしまうのではないか。発狂という言葉がしっくりくるような、そんな様子の次男。


子供たちを交互に抱きしめ、落ち着かせて眠るまで側にいた奥さん。

子供が寝たところで夫婦の寝室に戻ってきた。


「あれはヤバいよな。頭おかしくなるんじゃないか。」


「子供たちのあんな姿は私も見たくない。
こんな事になるのなら、あなたが私にしてきたことを全部子供たちに話しておくべきだった。父親を見下すような子供には育って欲しくないと、あなたの悪いところは絶対に口にしないようにしてきたのが逆効果だった。」


子供のその姿を見て、何か心変わりをしてくれたらいいと思っていた。

大半の母親というものはそういうものだと思っているし、事実そういう女だった。
何度も子供たちのためと心に言い聞かせ離婚を踏みとどまったに違いない。今までは。


今までと明らかに違う。
まゆとの『あいしてる』のやりとりだけが奥さんをここまで変えてしまうとも思えない。


「今までの積み重ね。私の気持ちがここまで変わってしまったのは、この間のメールやまゆさんの存在じゃない。俺くんと私の積み重ねてきた結果がこれ。こんな両親の姿をこれ以上子供たちに見せたくもない。もう諦めてほしい。


「この20年、そんなに辛いことばかりだった?結婚記念日に二人で旅行したことや、子供たちとたくさん出かけて楽しかったこと、もう思い出せないほど毎日辛かったのか?」


「楽しかったことが思い出せるなら離婚なんてしない。」


この日は寒気がするほど淡々と語った。

俺の奥さんではなく、まったく別人と話しているようなかんじがした。

積み重ね。確かにそうだと思えた。
原因の全ては俺の素行の悪さにあることは目に見えていたし。

でも、子供のすがるような姿を見てもなお離婚を押し通そうとする。そんな残酷な女ではなかった。
そこには何か理由があるのだろうと、俺もそこでようやく気付き始めた。


楽しかったことを思い出せないのではなく、ここではないどこかにもっと楽しいことを見つけてしまったんじゃないのかな、と。

辛いときに弱音を吐ける場所がどこかにある。





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